四万十川100kmマラソン(前編)

 

少し長くなりますので、前編(準備)、中編(本番)、後編(検討)の3回に分けて掲載させていただきます。

 

なお、この記事は2009.04.16に掲載しましたが、2009.09.08 「カテゴリー」の編集中に誤って削除してしまいましたので、バックアップから再掲させていただきました。
(2009.09.08 再掲) 

 



1.はじめに
昭和60年からジョギングを始めて12年目を迎え、それまでフルマラソンを9回走ったので、家内と平成8年10月20日に行われる第3回四万十川100 kmに挑戦することにした。

 
四万十川ウルトラマラソンには、100 kmと60 kmの部がある。私は60 kmなら何とか走れそうな気がして60 kmへの参加を主張したが、家内から「60 kmの部にしたら、余裕があってもそこまでしか走れないじゃない。折角だから100 kmにして、行ける所まで行きましょうよ」と強引に押し切られてしまった。

 


2.目 標
制限時間が14時間なので、給水時間と休憩を含めて1km8分ペースで走れば、計算上は13時間20分で完走できることになる。

 

42.195 kmまでなら1km5分30秒ペースで走れる自信があるが、それ以上の距離は経験がないので全く予測がつかない。とにかく家内の言うように行けるところまで行き、ダメだと思えば途中で潔くリタイアして、翌日からの仕事に支障が出るようなダメージだけは避けることを目標にする。

 

 

3.100 kmは徳島からどこまでか
100 kmは徳島県庁からどのくらいの距離か調べてみると、北へ行けば高松(78 km)を過ぎて坂出西なら池田(73 km)を通過して愛媛県の川之江南なら牟岐(72 km)を通り越して高知県の東洋町までの距離である。ちなみに、東へ行けば海に落ち込むので泳がざるを得ない。

 

とにかく、どちら向きに走っても徳島県を行き過ぎてしまう長い距離である。穴吹までがおよそ40 kmでフルマラソンの距離。池田まで行ってもまだ残りが27 kmもあるので、走り切れるのかどうかまるで見当がつかない。

 

親戚の者に「今度の日曜日は100kmマラソンを走ってくるよ」と言ったら、「何泊して走るの?」と聞かれて思わず笑ったが、笑い事ではない気の遠くなるような距離である。

 

 
4.コース
四万十川100 kmマラソンは午前5時30分に中村市(現在の四万十市)をスタートする。20 km地点で眉山(280m)の2倍以上ある650mの山を越えたあと、野々川沿いに12 kmだらだらと下り、32 km地点の掘切で四万十川に出る。そのあと本流沿いに十和村、西土佐村を経て62 km地点のカヌー館で必要なら着替え(先に送ってくれる)をし、午後7時30分までに中村市に引き返す楕円形のコースである。

 

途中2.5 kmごとに水、5 kmごとにスポーツドリンク、20 kmごとにパン、カステラ、握り飯、ラーメンなどが用意されており、エイド体制は万全とのこと。

 

 
5.レース回数と最高記録
実は、私の家には馬と鹿が居る。馬が私で鹿が家内。決して走るのが速いということではなくて、いつも徳島中央公園を並んで走るので、読み方はご想像にお任せする。

 

 大会までの馬と鹿の5kmからフルマラソンまでの参加回数最高タイムを見ると、馬の方が回数も記録も断然優勢であり、100 kmマラソンの結果も自ずから明らかだと思われた。

  
                 馬(58歳、走歴12年)   鹿(55歳、走歴10年)


   5km             12回 (   21:30)          8回  (    24:55)
  10km            24回 (  43:44)        14回  (    47:46)
  21km            19回 (1:43:07)        10回  (1:52:58)
  30km              4回 (2:28:59)          1回  (3:04:54)
  42km              9回 (3:42:05)          3回  (4:01:37)



6.大会直前3ヶ月の練習量
100kmマラソンは過去の記録よりも、大会直前3ヶ月間の練習量で決まると言われているが、馬と鹿の練習量は以下の通りであった。


                                     馬              鹿


   総走行距離(km)              851               1126
   7月                               203                 260
   8月                               318                 451
   9月                               330                 415
   連続走行(回)
   10km~20km                 59                   55      
   21km~30km                 14                   27     
   40km                              3                     0
   50km                              0                     2
   60km                              0                     1

 

直前3カ月の練習量は、馬の851 kmに対して鹿は1,126 kmで、275 kmも多く走っている。連続して走った距離も15 km以下は馬の方が多いが、20 km以上は鹿の方が多く、馬は40 kmが最高なのに比べて鹿は50 kmを2回、60 kmも1回走っていた。

 

9月22日に、文化の森→佐那河内→鬼篭野小学校→神山中学校を折り返す50 km走をしたが、気温が28℃と暑かったために水ばかり飲み、塩分を補給しなかったために馬は40 km付近で足がケイレンして敢えなくダウン(鹿は完走)。100 km完走が危ぶまれた。  

   
       ( to be continued )           


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四万十川100kmマラソン(後編)

 

10. 大会翌日
翌日目がさめてベッドから下りると、足のグリコーゲンが枯渇している感じで、まるで力が入らない。筋肉痛はそれほどでもないが、足の感覚が鈍くなっているので階段を歩いて下りるのは危なっかしい感じがした。

 

朝食を済ませ、午前8時頃にJR中村駅を出発。午後1時過ぎには自宅に到着し、午後からの仕事も無事に済ませた。

 

 

11.走行距離と筋肉疲労度
歩行時には片足に自分の体重がかかるだけであるが、ランニング時には速度の二乗に比例して足への衝撃が増す。つまり、私のように8分ペースでゆっくり走っても片足に体重のおよそ2倍(130kg)以上の衝撃が加わることになる。当然ながら、距離が長くなるほど下肢へのダメージは大きくなることが予想される。

 

血液中のミオグロビン(Mb)という成分を測定すると、筋肉のダメージを知ることができるので、10 kmから100 kmまでの筋肉疲労度を比較してみた。

 

走る前のMbと走った直後の数値を比較すると、10 kmでは1.1倍、21 kmでも3.6倍程度で疲労度は軽いが、30 kmになると14.5倍、フルマラソンでは33.4倍と急激に筋肉疲労度が増す。

 

100 kmマラソンの場合は、さぞかしフルマラソンの2倍以上の疲労度ではないかと思っていたが、意外なことに100 kmマラソンのMbの倍率は27.2倍で、フルマラソンよりも20%ほど低い結果が出た。

 

つまり、長距離走時の筋肉疲労度は、距離よりも速度(足への衝撃)と休憩の有無(疲労の回復)が大きく影響するものと思われる。足の筋肉疲労度から見れば、中年以降からでも100 kmマラソンは無茶な競技ではないようである。

 

 

12.100kmマラソンのカロリー計算
詳しい説明は省略するが、私が100 km走ると計算上は5,000 kcalのエネルギーが必要である。ところが、私の体内に蓄えられているグリコーゲン量と当日の摂取カロリーをすべて加えても3,200 kcalにしかならなかった。つまり、残りの1,800 kcalは体脂肪を燃やして走ったことになる。

 

私の体脂肪率は約16%、体重が63kgなので体脂肪は約10 kgある。脂肪1g=9 kcalの熱量として計算すると、10,000g×9 kcal=90,000 kcalの蓄えがあるので、何も食べずに1日2,000 kcal消費しても、エネルギーだけを考えれば45日間は生きられる計算になる。

 

脂肪が多いと肥満になるので、脂肪は動脈硬化の危険因子として邪魔者扱いされているが、いざ遭難した時や災害時には、水さえあれば肥満系の人の方が長生きしそうである。

 

 

13.100kmマラソンの練習法
四万十川100 kmマラソンは距離が長いうえにスタート時間が早く、途中に山登りがあるので、普通のフルマラソンとは違った練習が必要になる。

 

1)ゆっくり長く走る練習
100 kmマラソンは持久走なので、無理して速く走る必要はない。マイペースで休憩を挟みながら、5~6時間は走ったり歩いたりする練習が大切。

 

2)食べながら走る練習
普通のランニングやジョギングは食後1時間以上たって、胃の内容物が消化されてから走るのが常識であるが、100 kmの場合は途中で栄養補給をしなければガス欠になる。食べながら走ると、胃が振動して嘔吐をする場合があるので、食べながら走る練習も必要。

 

3)朝早く起きる練習
スタートが午前5時30分なので、朝食後の余裕を考えると朝3時には起きる必要がある。そこで、レース1週間前から目覚まし時計をかけて3時に起きる練習をしたが、不思議なことに4日目頃から目覚まし時計が鳴る前に目が覚めるようになった。

 

4)山登りと下りの練習
四万十川100kmマラソンでは21 km地点で650m、52 km地点にも200mほどの山がある。普段のトレーニングで平地だけを走っていると、四万十の山登りは厳しい。また、登りよりも下りの衝撃で足を痛めることが多いので、登り下りを上手に走る練習も大切。そのために、眉山(280m)で八万側から西部公園を往復する練習をした。

 

 

14. レース中の携帯品
この大会は、あらかじめ62 km地点の「カヌー館」に靴や着替えなどを送ってくれる。必要ならそこで着替えができるので、わざわざリュックを背負って走る必要はない。私は念のためにシューズも一足送ってあったが、サロマ2の具合がよいのでソックスとTシャツだけ替えて走った。

 

ただ、ポシェットは腰に巻き、塩昆布梅干バンドエード消炎スプレー100円と10円硬貨を数枚、胃腸薬阿波三盆ビニールのゴミ袋入れて走った。

 

とても重宝したのは塩コンブ。塩分補給のために、給水のたびに1~2枚食べながら走った。梅干も用意したが、エイドの梅干の方がおいしかった。

 

80 km地点で少し低血糖気味になったので、道ばたの自動販売機で缶コーヒーを買った。とてもおいしくて、百円硬貨が役立った。80 kmあたりから足がケイレンしそうになった時には消炎スプレーも使い、効果的であった。

 

阿波三盆は口の中ですぐに溶けるので、糖分の補給と気分転換に重宝したが、念のために持参した胃腸薬は使う必要がなかった。

 

ビニール袋は小さくて軽いので、持参する方が賢明である。ゴミ袋の底と両端をくり抜いて頭と腕が出るようにしておく。今回は使はなかったが、1994年の福知山マラソンで途中から雨になり、カッパ代わりに役立った。早朝や夜など寒い時は、防寒具にもなる。

 

 

15.  おわりに
数日後の徳島新聞に、「中高年夫妻が100kmマラソン完走」と題して、馬と鹿が完走証を持った写真入りの記事が掲載された。

 

いささか恥ずかしい思いをしたが、 「あの二人が走れるのなら・・・」と、その後は徳島から100 kmマラソンへの参加者が増えている。僅か1回だけのウルトラ経験であるが、私たちの完走が多少は刺激になったのかも知れない。

 

それはともかくとして、頭の痛いことが二つある。家内から「100 kmにしておいてよかったでしょ」と言われることと、○○は奥さんより遅い」という噂が一挙に広まったことである。

 

                                  ( The End )

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四万十川100kmマラソン(中編)

 

7.第3回四万十川100kmマラソンの参加者数
第3回四万十川ウルトラマラソンの参加者は、100 kmの部が1,294名、60 kmの部が327名であった。100 kmの部の男子は40歳代が最も多く439名、50歳以上も222名で全体の19%を占めている。つまり、中高年者もかなり参加が多い大会と言える。

 

ちなみに、四万十川ウルトラマラソンは2008年10月19日に第14回目を迎えたが、1997年から国際大会に認定され、外国人選手も参加するようになっている。

 

 

8.  四万十川100kmマラソンの経過
前日の夕方、中村市(2005.04.10に中村市と西土佐村が合併して、現在は四万十市になっている)に着き、中村駅近くのホテルに宿泊。

 

その夜、衆議院選挙の開票でテレビが賑わっていたが、体育館で開かれた前夜祭に出たあと、Tシャツにゼッケンを付けて準備を済ませ、午後9時頃に就寝。

 

大会当日(1996.10.20)、午前3時に起床。3時半に朝食をとり、4時半頃に巡回バスでスタート地点へ向かう。午前5時に蕨岡(わらびがおか)中学校で開会式。

 

5時30分、一斉にスタート。10 km地点から徐々に登りが始まり、20 km地点で650mの山頂に達する(2:16:52)。まだ疲れがないので、意外と楽に登れる。この頃から陽がのぼり山頂を照らす。

 

山頂から野々川沿いにだらだらと12 kmほど下る。30 km地点を3:34:03で通過して32 km地点の堀切(ほりきり)で四万十川本流に出る。初めて見る壮大な四万十川に感激。記念写真を撮るランナーも多く、このエイドがサポーターの一番人気とか。右折して昭和大橋を渡り、左折して小野大橋を過ぎると、やがて40km地点の中継点に到着。

 

フルマラソンの時は35 kmあたりが最大の難所だが、100 kmマラソンの場合は速度が遅いせいか、まだ65 kmあるとの心理的な要因か、スイスイと走れる。

 

この中継点で、握り飯やパンを食べて栄養補給をする。川向かいの「こいのぼり公園」から午前9時30分に60 kmの部がスタートしており、俄然、賑やかになる。10分ほど休憩して再スタートし、42 km地点を4:57:06で通過 (昨年の徳島マラソン5:23:39より速い?!)

 

54 km地点の第一関門も余裕で通過。このコースには94 kmの最終関門までに六ヶ所の関所があり、制限時間を過ぎると即座に失格となり、バスに収容される。

 

第一関門を過ぎると、やがて200mほどの登りがある。この坂が意外と難所で、歩く者も多い。私もその一人だが鹿は走った由。

 

60 km地点を7:23:13で通過し、62 km地点のカヌー館に7:36:29で到着。驚いたことに、鹿が私より20分ほど先に着いていた。鹿の再スタートを見送ったあと、あらかじめ送っておいたTシャツと靴下に着替えて、十分に腹ごしらえをする。

 

ここでどれだけ余力が残っているかで、あと38 km走りきれるかどうかが決まる。足にケイレンがあるようだと、リタイアしてバスに乗るのが賢明かも。しかし、10米ほど階段を昇った所にあるトイレへの昇降も問題がなく、さほど足へのダメージもない。続行を決めて24分後に再スタートする。

 

80km地点を10:49:32で通過。このあたりから流石に疲れがでて、半分は歩かざるを得ない。足が棒のようになっているので、一度エイドで立ち止まると、今度走り始めるのにまるで白鳥が湖面を飛び立つ時のように、少しずつ勢いをつけないと走りにならない。

 

止まると動き始めるのが大変なので、エイドでは歩きながら給水し、時々消炎スプレーを足に吹き付ける。次第に夕闇が迫り、90 kmあたりからは真っ暗闇。危険防止のために、胸に蛍光ランプをぶら下げてくれた。

 

山道の角々で車がライトをつけて路を照らしてくれる。真っ暗な山中でまばらに走るランナーの蛍光ランプが、まるで蛍の光のようにちらちら見えた。

 

94kmの最終関門に12:56:26で到着。関門通過時間の余裕は僅か20分であった。疲れ切っていたが、あと6kmとなると流石に元気が出る。中村市街に入ると沿道に松明が炊かれ、観衆も多くなる。

 

もう制限時間内のゴールインは間違いないので、観衆に手を振りながらお礼を言い、中村高校のグランドへ13:44:06で到着。先にゴールしていた仲間たちの暖かい歓迎を受けた。制限時間16分前のぎりぎりのゴールであった。

 

ほとんどの仲間は、練習量の少なかった私が一番心配で、完走は無理だと思っていた由。
いつものように救護所へ行って採血をしてもらい、巡回バスでホテルに帰る。初マラソンの時のような足のケイレンもほとんどなく、バスの昇降も問題なくできた。

 

 

9.四万十川100kmマラソンの成績

 


                         馬           鹿

通算タイム     13:44:06       13:02:26
総合順位         777位             588位 

参加者数      1,294名
完走者数       867名
制限時間       14時間
優勝記録       6:41:12


 
100 km参加 1,294中、14時間以内の完走者は 867名(67.0%)で、1位の選手のタイムは、驚くなかれ 6:41:12 。1kmをちょうど4分ペースで走り、私が55 km付近に達した頃には、既にゴールインしてビールを飲んでいた(?)ことになる。後で聞くと、トップ集団はエイドやカヌー館で立ち止まることなく、走りながら給水していたとのこと。恐るべきスタミナとスピードである。


 
馬は制限時間ぎりぎりの 13:44:06。鹿は13:02:26で馬より40分ほど早くゴールし、結局は私の予想に反して鹿に軍配があがった。矢張り、100 km走では過去の記録よりも、直前3ヶ月の練習量が大切であることを改めて実感した。

 

それにしても、14時間以内の完走者は867名。私がラッキーセブンの777位なので、14時間の制限時間まで僅か16分の間に90名がゴールしたことになる。私以上にヒヤヒヤしたと同時に、嬉しかったに違いない。拍手!

 

                ( to be continued )

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46歳からジョギングを始めて今年で31年になりますが、走りの途中で見かける野鳥に興味を持ち、平成16年3月から野鳥撮影を始めました。マラソンや水泳の話も時には挟みながら、徳島で見かける野鳥を中心に掲載させていただきます。
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